バリアフリー住宅を考える

住宅には危険がいっぱい!!
バリアフリーの住宅は何らかの障害がある人だけのものではありません。なんと65歳以上の家庭内死亡事故の数は交通事故の死亡者数を上回っています。
’98年の家庭内死亡者数は65歳以上が7500人以上となっています。死亡ほどの事故ではなくても、怪我が原因で寝たきりなどになってしまった数はそれ以上です。住宅の中には危険がいっぱいなのです。
ですから、今のうちから高齢になったときの事を考え、住宅内の危険をできるだけ少なくしておくことが大切です。高齢になると、視力や聴力の低下、反射反応の低下、筋力の低下をきたします。そこで高齢者のための住宅改修のポイントを考えます。

1.段差の解消
階段が主なものですが、階段をなくす事はできませんから、できるだけ勾配を緩やかにする事がかんじんです。できれば30度くらいの勾配か、途中に踊り場を付けると理想的です。次善の策として階段の壁に手摺をつけ、各段に滑り止めをつける事をお勧めします。ただし、手摺はしっかりした下地に取り付けてください。

2.通路や部屋の出入口の改良
廊下は車椅子が使えるように幅を1.1M以上とるようにしてください。既存の住宅の場合には、手摺を取り付けます。(高さは70CMくらい)又各室の出入口の段差はなくする事が大切です。高齢になってきますと、2、3CMの段差でも危険です。既存の住宅の場合はドア廻りに手摺を取り付けます。

3.トイレと浴室の改良
増改築でトイレを改良するときは、車椅子でも入れるように大き目に作り、手摺などを取り付けます。できれば寝室からの距離が少しでも少なくなるように配置します。夜トイレにいくまでに起こる事故が大変多いからです。そこまでの予算やスペースがないときにも、最低限手摺は取り付けるようにしたいものです。
浴室はどうしても段差が付いてしまうため、浴槽との段差は仕方ないとして、それ以外の出入口や脱衣室などの段差はなくするようにします。最近はユニットバスでも出入口の段差のないものが出ています。

         

バリアフリー住宅を造るためのポイント
高齢になっても自立して生活する為には、現在の住宅を改造するか、新しく建築するかの二つの選択肢があります。
どちらにしても、1.土地を選ぶ、2.家族を選ぶ、3.作り方を選ぶという選択をする必要があります。誰とどこにどのように住むのかという事ですが、ここでは、どのように住まいを造るかという事を考えていきます。
住まいの方法にも三つの選択肢が考えられます。

1.街と関わって暮らす
近所の人たちと積極的にコミュニケーションをとりながら生活する。敷地の周囲には厳格なバリアーを設けず、気軽に近所の方たちと話のできる空間を作るという事です。たとえば、1階部分に小さな店舗や空間を作る方法があります。高齢になっても何か仕事をしていた方が生活のリズムができて張り合いができるのではと思います。この場合には全ての設備等を高齢者向けにする必要があります。

2.街を眺めて住まう
近くの人たちとは、一定の距離を置いたつきあいをしていく。たとえば、二世帯住宅などがこの範疇にはいるかと思います。いわゆるスープの冷めない距離に親子が暮らすという事です。お孫さんがいるご家庭などではお互いのプライバシーを確保しつつ、寂しさもなく快適に暮らせるのではと思います。ケースにより違いはありますが浴室などは共用で良いかと思いますが、台所やトイレなどは独立させた方がいいように思います。

3.街と距離を置いて住まう
近所の人たちとの関わりよりも、自然との関わりを多く持ちたいなどと考えるときです。または、自分たちの<FONT 生活スタイルを大切にしたいという場合が考えられます。
土地を考える事もありますが、街に暮らす場合でも近所の方たちと最小限のお付き合いをする為には、平面計画の段階から考えておく事が必要です。この場合も全ての設備と部屋の作り方を考えた方が、いいようです。

          

 いずれの場合でも共通する事は、周囲の方たちとどのように関わっていくかという事ですが、現在ではそれらをサポートしていく設備や道具が数多く出ていますので、それほど計画は困難なものではありません。以下に共通して設置した方がいいと思うものを箇条書きにしました。

1.トイレは各階に設ける。
2.各階の床の段差はなくする。
3.各室には将来の為に、手摺取付用の下地を設ける。
4.水栓は原則として、レバーハンドルとする。
5.廊下の有効幅は1M以上とする。
6.階段には、滑り止め、手摺、足元燈をつける。
7.トイレはできるだけ寝室に近接して設ける。
8.浴室内部にはL型の手摺を設ける。
9.浴室出入口は引き違いまたは、折れ戸などのスペースをとらないものにする。
10.浴室、トイレ内部には非常用の押しボタンをつける。
11.トイレは暖房の 腰掛け便器とする。
12.トイレ内部は有効幅1.2M以上とるようにする。
主だったものだけを、記載しましたが、不明な部分もあるかと思います。その場合はこちらへお問い合わせください。

          


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